ネイルって、チャラチャラしてるだけ?
書き手である僕の人生において、関わる機会の無かったモノっていくつかある。
ネイルもその一つ。たまに「良い柄だな」って思うこともあるけど、目の前の人がネイルしているからって、そんなに気に留めるコトはなかった。
今回、取材したのはネイリストの佐藤沙織さん。東京にある自宅の一室にネイルサロンを設け、一人一人にあったネイルをしている。今年の4月には、NYにて展示会をしていたそう。
そんな沙織さん、ネイルを描いたり、見るコトが好きなのはもちろんですが、それ以上に人を喜ばせることが好きな方なのかなって思ったり。
「もちろんネイルが好きってのもありますけど、お客さんにネイルをして喜んでもらえることが大事だと思ってやってる。だから、私がデザインしてる独特のネイルを参考にしてくれる嬉しいお客さんもいるけど、一人一人に似合うものって全然違うから、その人がして欲しいデザインをして喜んでもらうことを一番にしてる」
「他のネイルサロンはお客さんがデザインで迷う時間を減らすためもあって“今月のアート”とかテーマを決めているものが多い。だから私みたいに『ここは何して、あっちは何色で』ってやり方は一番時間がかかる。けど、わざわざ人の家に来て、話しながらやりたいって言うお客さんが相手なので、だれかとまったく一緒でなく、一人ずつ違ったものにしてかえってもらいたいと考えている」
そうして、相手に合わせたネイルをしているそうですが、やっぱり自身の独特なデザインもあるそうで、ネイルを少し違う形で活用しているそう。
「お客さんからでなく、ただ自分がやってみたかったデザインって、そんなに一般受けはしない。だから額に入れて、展覧会やカフェとかいろんなトコに飾ってもらってる。一つのアートとして、絵や書道とコラボしたりと爪以外のコトでもいろんな事ができたり」
上の写真は、ネイルのデザインをアクセサリーとして活用したもの
他のアーティストとのコラボ作品
こうした綺麗なデザインを描いてますが、小さいときは絵が苦手だったそう。ネイルも学生のころはしていなかったとか。
「母親からは『あんた、今そんなことしてんの?』と驚かれる。もともと絵のセンスがなかったので。ネイルは大人になって、ネイルサロンにフラっと行ってみて、そこから自分でも勉強し始めました。自分もそうですが、ネイルって若い子だけがしてるものじゃなくて、30代40代とか余裕が出てきて、自分を大切にできる人が多い気がする」
若い人だけじゃないと言えば、沙織さんはお年を召した方にもネイルをしたことがあるそうで、老人施設にボランティアに何回か出向いているそう。
「おばあちゃん、なかにはおじいちゃんもいたけど、ネイルをしてあげたらすごい喜んでくれて顔色がパーって変わるんです。おばあちゃんって言ってもいくつになっても女性やなって」
鏡で顔を見るよりも目にする機会が多いからか心理的にも効果があるそうで、こんなことも話してくれた。
「小さい爪だったり自信のない爪だったりすると、見せるのが嫌だから噛んじゃったりする人もおるくらいで、逆に自分の好きな色とか気分が上がる色が入ってたら元気になる。極端な話、ボケたおばあちゃんが治ったりもする。人を変えるし、ただオシャレじゃなくて人を元気にする」
「チャラチャラしたねーちゃんがやってるイメージかもしれないけど、そうじゃない人も多い。昨日いらしたお客さんは78歳。指先を綺麗にするって大事だと思う。そこまで気を遣える人って、むしろアクティブな人が多い。めっちゃ運動して、たまに爪を折ってくるし」
お客さんの中にはこんな方もいたそう。
「名古屋に住んでた時もあって、その時の最高齢のお客さんは86歳。その人、大学に行ってたみたいだよ。そんで、『サークルの飲み会がある』って言ってたわ」
「その人は『爪が綺麗ね』って言われて、ネイルを続けてるみたい」
-お話しをうかがって
ネイルをするとき、例えば足の爪だと同じ姿勢でやらなきゃいけなくて、腰に来たりするそう。ただのきらびやかな仕事でもないみたい。それに、ネイルをしてる方々のイメージもちょっと違った。
たぶん、ネイルをしてる人の中には美容の世界がただ好きって人もいると思うけど、“自分を大事にしてる人”って思うと、ネイルをしてる人を見かけた時の印象もまた違ってくるかなって思ったり。
ネイルサロンSaronailのホームページ;https://ameblo.jp/saronail/
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