絵本と、自分の中の古い部分と
高山市は年間50万人を超える外国人観光客が訪れる。そんな高山のメインストリート的なところを少しはずれると、落ち着いた雰囲気の通りがある。その通りには、おそば屋さんや履き物屋さん、インテリアも扱うカフェ、飛騨牛を使ったハンバーガー屋さん、あと郵便局がある。
(そのハンバーガー屋さんは、ハンバーガーをナイフとフォークで食べる所で、味は格別でした。CENTER 4 HUMBERGERSで検索してみてください)
その通りに一件、絵本のキャラクターが窓からのぞいているお店がある。絵本の雑貨 雷鳥屋。
店内はあのバムとケロ、リサとガスパール、ほかにも絵本で読んだことのあるキャラクターであふれている。少し不思議に思ったのは、たくさんのキャラクターでいっぱいなのに、騒がしい感じがしなかったこと。
雷鳥屋の店主はこう話してくれた。
「どちらかと言うと、大人のお客さん向けにお店を作っています。だからレイアウトも落ち着いていて」
「ここは古い町並みで、絵本って自分の中の古い部分の象徴でもあるからか、この場所にもうまく溶け込めているのかもしれないね」
この場所は、たまたまいい条件で物件が空いていたからだそうで、場所に決めてから開業までとんとん拍子に進んでいったのだとか。
「このお店を始めたのは、絵本が好きだからってわけじゃなくて。前の仕事が好きじゃなから、自分で仕事をやってみたかったんですけど、さして何かできるわけじゃない。料理ができるわけじゃなし」
絵本の全般というよりも「リサとガスパール」が好きという事で、当初はそのグッツだけを専門で扱うお店を作ろうとしていたみたい。
でも、「リサとガスパールがこけたら、あんたもこけるよ」と問屋さんからアドバイスをされて、絵本全般の雑貨を取り扱うことにしたのだとか。
「今では、どこキャラクターにも愛着がありますね。リサとガスパールが好きだけど、バムとケロもかわいいですよね」
ここの店主の方の前職は、税理士事務所。高山で生まれ育ち、東京の専門学校で会計士の勉強をして、高山の税理士事務所で働かれていたそうです。
「最初は東京に憧れもあったけど、いざ行ってみて“地元でもいいな~”って思いました。東京が嫌いになったわけじゃないけど、高山には山もあるし、川もあるし。自分はやっぱり、そういう所に居たいと思いました」
「もちろん、東京や名古屋でもお店をできたのかもしれないけど、このくらいの方がちょうどいい。きっと都会の方が売上は出るけど、今くらいでいい。前職は税理士事務所で、数字を見る仕事をしてたのに、今は数字を気にしないような仕事の仕方をしちゃってるね。(笑)」
お話を伺っていたら、お客さんがやってきた。「あー!これ読んだことあるやつだ」、「これ覚えてるっ」と話していて、キャラクターのかわいさだけじゃなくて、懐かしさがよみがえる場所なんだろうなって感じました。
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