金沢の学生に、“授業”、“サークル”、“バイト”以外の選択肢
仁志出憲聖(にしでけんせい)さん。たまに学生に間違われるそうですが、30歳。株式会社ガクトラボの代表で、学生と地域を結びつけるコーディネーターとして活躍されている。
設立したのは仁志出さんが大学院生の時。小さいころからの友人で、現在も共に活動している村本さんと共に立ち上げた。
当時は金沢で学生をやっていたが、周りを見ると今ほど学生にとって刺激ある機会って少なかったと思う」
「今の学生にはインターンシップや学生団体、政治活動への参加など、社会で何かに熱中してやれることがある。でも、ちょっと前の金沢の大学生にはそういったものがなかった。授業を受け、アルバイトをし、4年間が過ぎていく」
それを変えたいと思い、大学院生時代にサークル「KAKUMA NO HIROBA」(のちの株式会社ガクトラボ)の立ち上げ、学外活動として水車づくり、企業とコラボした活動とプロジェクト型の学生生活を行ってきたのだとか。
その一つとして、当時はまだ浸透していなかったツイッターを使った議員さんへの質問箱のような企画。給与、今の政治に対しての問題に思う部分、~の問題はどう思っているのかなど個別の質問など、答えにくい質問をして、答えてもらうということもしていたそう。
この企画は誠意をもって答えてくださる方がいらして、成功をおさめたのだとか。
そうして活動をしていく中で、能登にある株式会社御祓川というまちづくりをしている団体の紹介で、全国各地のまちづくりや教育に関わる団体などが参加しているチャレンジコミュニティというものに加わる。
そこにいる団体が事業の一つとして取り入れている実践型インターンシップが“学生がその地域の中小企業で活躍し成長する。それにより企業が新しい事業に挑戦する”というプログラムで、KAKUMA NO HIROBAもその実践型インターンシップを始め、現在ではメインの事業になっている。
そのインターンシップは、経営者が会社として今後やりたい事業の一端を担うもので、コーディネーターはその事業を進めるインターン生のサポートも行っている。
ただ、他の団体と当てている焦点は少し違うみたい。それは団体の設立理由が違うから。同じように実践型インターンシップをコーディネートしている団体でも、その設立のきっかけは“地域の活性化のため”、“より社会にコミットした教育のため”と一様い同じではないそう。そんな中、ガクトラボは“金沢の学生が刺激ある時間を経験できるよう”に活動している。
そして、仁志出さんは“学生”という言葉に対して、特別な認識を持っている。
「“学生”の定義にもよるとは思う。生徒と学生はまた違う。自分たちは“学生”を自分で考え、将来が決まる、決める大事な時間を過ごしている者だと認識している」
そういった思いは、会社の事業からもうかがえる。ガクトラボは学外活動している学生や進路に悩む学生の相談を受け付けていたり、石川の学生団体の周知のためのイベント「金澤學生団体總会100秒プレゼン」を毎年開催している。
「ガクトラボは学生の相談を受け付けている。それに料金を取っているわけではない。でも、収益は出なくても自分たちにとって大事な事だから、代表である自分も相談を受けている」
それらは“ただ学生のために収益を度外視して行っている”というわけではなく、主体的に相談してくる学生や悩んでいる学生の力になりたいという思い、そこから副次的に生まれる企業や地域とのコラボレーション・チャレンジがあると考えているからこそ、やってきているのだそうです。
なので、こうしたことを「その瞬間にはお金が動かないけど、人が動くことをしている」と話されていました。たまにこうした繋がりがきっかけで実践型インターンシップに関心を示す学生もいるみたい。
―お話をうかがって
話を伺う前、「学生の時に感じていた、学生生活に対しての疑問って大人になって学生から年齢的に遠くなっていったとしても持ち続けられるのかな」って少し疑問に思っていた。
たぶん、仁志出さんはこれからも“学生”に対して思いを持ち続けていくと思う。話を伺い、そう思いました。
「もし自分が経営者として、組織の偉い人として学生の前から姿を現さなくなれば、“学生”に対しての思いよりも“経営や収益”に。企業との関わりだけになっていけば、“企業”に対しての思いが強くなってしまうのだと思う。だから、自分は今のように学生の目の前にいなきゃいけない」
「自分がよく学生に間違われるのは、見た目だけじゃなくノリのようなものもあると思う。学生といつも居て、そういうものを感じているからだと思う」
40歳になっても、学生に間違われていそうだな~って思ったり。
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