町にサイクル専門店
「町の自転車やさん」
勝手なイメージ、読者の何人かはこの言葉から、
この日は、愛知県大治町(名古屋駅から西へ6kmほど)という町の自転車やさんに伺いました。
きれい…。そして修理などで自転車を扱う際は、きちんと手を洗っている。
だから、作業場もきれい。そして、けっこうフォトジェニックな場所でした。
(それはさておき)
この日はりんきち店長にお話を伺いました。高校1年の時には、お年玉をはたいて、自転車をフルオーダー。総額、23万円ほどだったそうで、家に確認の電話が入ったそう。
「小学校6年生の時に、大治町から木曽川までの15kmの区間を5〜6人のグループでママチャリで、サイクリング。で、木曽川までゴールできて、感動もあったし」
それが、今でも自転車に関わる理由の一つだという。
しかし、乗るのと売るのは違うはず。
「そうだね。お客さんが買われて、納車の時に、すごく喜ばれるから、そーいうのをみてると、勧めて良かったなって。やっぱり、この仕事はお客さんを喜ばせないと」
そんな思いを持つりんきち店長。実はクルマも好きだそうで、就職活動には自転車だけでなく、クルマの業界にも足をはこんでいたそう。
「自転車もそうだけど、クルマもオフロードのものが好きで、岐阜にパジェロしか作ってない会社がある。」
しかし、そこの入社試験に受からなかったので、改めて自転車の業界を志したという。
また、自転車やさんをこの町に作るコトを決めたのも、この大学時代の時だったそうです。
その頃、大治町には自転車屋がなくなっていたそうです。高齢化してて、後継がいなく、廃業していったとのこと。
それもあって、自分の想いだけでなく、親からの後押しも決めての一つだったみたいです。
「元々は、うちの親が言っとって。『大治町には自転車屋がないから、やれやれ』って、うちのおかあが」
りんきち店長の母親は、よくお店にいらっしゃる。常連のお客さんからも愛されている方のようです。
「知多(愛知県の南の方)からも常連さんがいらっしゃって、『名古屋のいろんなとこを回って、最終的にここに決めた』と言ってくださってて。『なんで』って聞いたら、居心地がいいからって。『うちのおかあが面白いから』とか。」
そんなりんきち。今年はなんと、オープンして10周年だったみたいです。10周年イベントには、いつものお客さんとそのご家族で、90名近く集まったそうで、とても賑やかだったそうです。
こんなお客さんに愛されるお店の店長も、パッと自転車屋さんを始めたわけではない。
1社目に自転車メーカーで2年半働く。しかし、そこでは組み立て整備、接客、仕入れを経験できない環境でした。そこで、独立に向けて別の自転車屋で5年、修行してきたそう。
「技術は3年で身につくけど、接客業はすぐには身につかない。最低5年」
それは、その当時からそう考えていたんですか?
「いやいや、僕も5年おると思わんかったけど。長いなって。でも、そこの社長は『5年は必要だ』って」
「で、確かに専門的な技術は2年くらいで身についた。毎日、触っとるから。」
「その時、『僕は独立する』って言って、入ってるから、社長は全店舗を経験させてくれた。やっぱりね、客層が違う。地域によって全然違う。あと、その店舗ごとで先輩たちからもいろんな専門的なコトも学べたし」
「で、やっぱり5年は正解だなって思ったの」
いろんなお客さんがいて、いろんな対応をしなきゃいけない。それでも、今、スポーツ自転車の楽しみ方や、それをどうやってお客様に伝えて、楽しんでもらう事を意識されているそうです。
修行の期間は社員として、雇われていて自分でわからないコトがあれば先輩に聞けたそう。しかし、りんきちをオープンして、自身で解決していかなければいけなくなったとのこと。だから、自分自身への責任感をだんだんと感じると教えてくれました。
―お話をうかがって―
自分の周りでも、「将来、独立したい。起業したい」と言った声を聞くことがある。そういう志って、大事だけど、このりんきち店長が自分のお店を持てた理由は‘自転車が好き’という思いだったような気がする。
きっと、‘野心をもっているか’よりも、‘取り組むものに情熱を向けられるか’、‘それが好きなコトか’ということの方が大事なのかなっと思ったり。
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