銀行でのボランティア
彼は現在、70歳を超える。
―100歳まで生きられるなら、やりたいコトはあります?
「わからないな」
彼はレナート・アンダーソン。
スウェーデンの東の方、フディクスバルの田舎の方に住んでいる。
妻は数年前に亡くなり、子供はすでに大人で別の町に住んでいるという。
友人は多め。車を運転していたら、ときどき友人は呼び止められクルマ越しに会話していたほど。
滞在中、レナートさんの仲間たちの食事に、僕も招待してもらった。
会話のほとんどがスウェーデン語だったため、自分は話についていけなかったけど、とても楽しそうにしているのは見て分かった。
終わりがけには、今度はいつ集まろうかと話し合っていたみたい。
今回、そこにいた方々はJAK銀行というスウェーデンにある、変わった仕組みの銀行を利用しているメンバーであったらしい。(ちなみに、車越しに話しかけてきた友人は違うみたい)
その銀行は”金利は、お金が(虚構の?)お金を生み出す仕組みであり、それが格差を生む”という考えのもと、無金利の貸出・預金を行っている。
そこにいた一人は、その考えに賛同して、銀行を利用していると話してくれた。
レナートさんはその銀行の在宅ボランティアとして、メンバーからのメール対応をしている。
―その銀行を知ったのはいつですか?
「きっかけは1992年の金融危機。それがあって、前に使っていた銀行から他の銀行に変えようと思っていたところ、新聞でたまたま見かけたよ」
レナートさん自身、その銀行の無利子ローンの恩恵を受けた一人だそう。
「もともとの住宅ローンの金利だと、もう少し長く働かなきゃいけなかったけど、少し早く退職するコトができた。感謝している」
また、自身の体験からだけでなく、専門家の意見からも、この仕組みが良いものだと感じているみたいです。
「所得別に世帯を10段階に分けた時、金利の影響で、下から8割の人から上位1割の人への再配分が行われている」
これはドイツ国内での調査みたいですが、スウェーデンでも似たような現象が起こっているとのこと。
それゆえ、金利の弊害、格差のない社会が実現されるよう活動されているそうです。
すごく田舎な町に居て、社会のコトを考える。
普段は、友人と語り合ったり、音楽を楽しんだり。特にクラッシックが好きで、ドイツのヘンデルがお気に入りだそう。
小さい頃は車掌になりたかったそう。でも、店員として10代から働き、30歳からはスウェーデンの政府のもとで働いてきたという彼。
主観ではありますが、彼は100歳まで生きられるとしても、この生活を選ぶのだろうと思いました。
小さい頃に車掌に憧れるのは、どの国でも一緒なんだな~という小さい発見もありまして。
ーコラムー
スウェーデン語でJapanを「やーぱん」と発音するみたいでして、「日本ではどうだい?」って度々、聞かれても、最初の方はきちんと答えれませんでした…。
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